
(写真:ZUMA Press/アフロ)
🟰中国国内の抑えきれない不満の爆発🟰
2025年9月現在、中国国内で習近平国家主席に対する反政府運動が新たな局面を迎えています。特に注目を集めているのが、8月29日に重慶市で発生した「プロジェクションマッピングによる反共標語投影事件」です。この事件は、単なる単発の抗議ではなく、英国在住の海外活動家による遠隔操作によるハイテク手法を駆使したもので、中国のハイテク振興政策の裏側で進化する反共運動の象徴として、世界的な話題となっています。JBpressの福島香織氏の分析によると、このような運動は「奴隷にされたくない」という民衆の叫びを反映しており、就職難や経済格差、言論統制への不満が背景にあります。 では、この事件の詳細と、中国社会の深層心理を探ってみましょう。
事件の詳細:重慶の夜に浮かんだ反逆のメッセージ
事件は、2025年8月29日夜10時頃、重慶大学の中心商業地域である煉街(Xi Street)の高層ビルの壁面に突然現れました。巨大なプロジェクターから投影された標語は、約50分間にわたり次々と切り替わり、以下のような内容が目撃されました:
- 「立ち上がれ、奴隷に甘んじたくない人々よ」
- 「立ち上がって、反抗し自分たちの権利を奪い返すのだ」
- 「共産党がなくなってこそ、新しい中国があるのだ」
- 「自由は与えられるものではなく、奪い返すものだ」
- 「嘘はいらない。真実がほしい」
- 「奴隷にされたくない、自由がほしい」
- 「赤いファシズムを打倒せよ」
- 「暴政の共産党を転覆させよ」
このタイミングは新学期直前で、学生たちがキャンパスに戻る時期と重なり、多くの目撃者がいました。SNS(主に海外プラットフォーム)で動画が即座に拡散され、翌朝には警察車両が多数集結し、現場を厳重警備する事態に発展。容疑者は英国在住の中国人活動家で、リモートコントロールによる遠隔操作が確認されています。 X(旧Twitter)上でも、この事件は急速に広がり、JBpressの投稿が数百のビューを集め、反共派の間で「ハイテク反乱の始まり」と評されています。
この手法は、過去の事件を進化させたものです。例えば、2022年の「四通橋事件」では、北京市でITエンジニアの彭立発氏が橋上で「独裁的国賊習近平を罷免せよ」との垂れ幕を掲げましたが、即時逮捕されました。また、2023年の「済南リモート反共標語事件」では、海外からビルのLEDスクリーンに「打倒共産党、打倒習近平」を投影する試みが成功。中国政府の監視網をくぐり抜けるためのハイテク活用が、反共運動のトレンドとなっています。
背景:中国社会の怒りと絶望の蓄積
なぜ今、こうした運動が活発化しているのでしょうか? 中国経済の停滞が大きな要因です。2025年現在、若者の失業率は20%を超え、就職難が深刻化。就職氷河期の影響で「躺平(寝そべり族)」と呼ばれる若者が増加し、結婚・出産を諦める「低欲社会」が広がっています。さらに、習近平政権のゼロコロナ政策の後遺症や不動産バブル崩壊が、格差を拡大。民衆の不満は、日常的な言論統制や監視社会への苛立ちとして爆発しています。
福島氏の指摘通り、ハイテク人材ですら反共の側に回るケースが増えています。中国政府はAIや5Gを推進する一方で、これらの技術が反政府活動に悪用される皮肉な状況です。英国からの遠隔操作は、VPNや暗号化ツールを活用したもので、海外在住の中国人ディアスポラ(離散者)による支援ネットワークが支えています。 Xの投稿でも、「天安門事件を忘れるな」「打倒習近平」との声が相次ぎ、日本国内のユーザーからも中国の国家動員法への懸念が語られています。
影響と今後の展望:政権の安定性に影
この事件は、中国共産党の権力基盤に亀裂を生む可能性を秘めています。習近平政権は、2025年の抗日戦勝80周年軍事パレードでプーチン大統領や金正恩総書記の出席を呼び込み、強硬姿勢をアピールしましたが、内部では汚職撲滅キャンペーンが続き、軍幹部の失脚が相次いでいます。 反共運動のハイテク化は、監視社会の限界を露呈し、国際社会の注目を集めています。日本を含む周辺国にとっては、中国の不安定化が地政学的リスクを生むため、注視が必要です。
結論として、この蜂起呼びかけは「奴隷にされたくない」というシンプルな叫びから始まり、グローバルな反共ネットワークの進化を示しています。中国の未来は、民衆の声がどれだけ広がるかにかかっています。引き続き、関連ニュースを追っていきましょう。
(参考:JBpress記事、2025年9月13日時点の情報に基づく)
国外に『敵』を用意して民意を無理やりまとめるのも限界か?中国国民はまずはどこよりも腐敗した自国としっかりと向き合うべき


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